"Tidal disruption flares from stars on eccentric orbits"
Dr. Kimitake Hayasaki
Dec 27, 2012
第182回エンレイソウの会・日本物理学会北海道支部講演会共催
講演題目: Tidal disruption flares from stars on eccentric orbits
講 師 : Dr. Kimitake Hayasaki
Korea Astronomy and Space Science Institute
日 時 : 平成24年12月27日(月) 13:00-14:00
場 所 : 北海道大学 工学部大会議室(A1-17)
要 旨 :
We study tidal disruption and subsequent mass fallback process for stars approaching supermassive black holes on bound orbits, by performing three dimensional Smoothed Particle Hydrodynamics simulations with a pseudo-Newtonian potential. We find that the mass fallback rate decays with the expected -5/3 power of time for parabolic orbits, albeit with a slight deviation due to the self-gravity of the stellar debris. For eccentric orbits, however, there is a critical value of the orbital eccentricity, significantly below which all of the stellar debris is bound to the supermassive black hole. All the mass therefore falls back to the supermassive black hole in a much shorter time than in the standard, parabolic case. The resultant mass fallback rate considerably exceeds the Eddington accretion rate and substantially differs from the -5/3 power of time. We also show that general relativistic precession is crucial for accretion disk formation via circularization of stellar debris from stars on moderately eccentric orbits.
世話人 羽部 朝男
(ichimura@eng.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究院物理学部門 宇宙物理学研究室
「強磁性超伝導体UCoGeのNMRによる研究」
石田 憲二 氏
Nov 29, 2012
北大理学部物理部門主催 物理学会北海道支部講演会・第180回エンレイソウの会共催
講演題目: 強磁性超伝導体UCoGeのNMRによる研究
講 師 : 石田 憲二 氏
京都大学大学院理学研究科・教授
日 時 : 平成24年11月29日(木) 16:30-17:30
場 所 : 北海道大学理学部5号館3階304号室
要 旨 :
強磁性と超伝導の共存の研究は1950年代より理論、実験の両面から研究されてきた。強磁性とは 電子スピンの成分が平均するとゼロとならず、ある方向に自発磁化をもっている状態である。 これに対し電気抵抗がゼロとなる超伝導では、2つの電子が通常合成スピンゼロの一重項対状態を作り、「完全反磁性」と呼ばれる内部の磁気モーメントがゼロの状態 を取る。一見して相反する現象であるが、両現象が異なる電子スピンや結晶サイトですみ分けている共存の例は報告されてきた。 それでは、同じ電子が強磁性と超伝導の両方の起源になりうるのであろうか? 電子は局在状態では超伝導にはなれないので、遍歴強磁性状態が超伝導になれるのかという問題であるが、同じ電子による強磁性と超伝導の共存は永らく存在するとは思われていなかった。 このような中、常識を覆す報告が2000年ケンブリッジ大のサクシーナ(S.S.Saxena)らによってなされた[1]。彼らは、50 Kで強磁性を示すウラン(U)化合物のUGe2が、1.3万気圧程度の加圧により強磁性状態のまま0.8 Kで超伝導に転移することを報告した。この物質では強磁性と超伝導は 同じUの5f電子に起因すると考えられ、超伝導研究者に大きな衝撃を与えた。現在までの精力的な研究により、4つのU化合物が強磁性超伝導体として知られている。なかでも今回取り上げるUCoGeでは常圧において強磁性状態で超伝導を示す物質であり、強磁性と超伝導の関係、強磁性超伝導状態の物性を調べるには適している。 本講演ではUCoGeに対し、我々の行ったコバルト(59Co)核の核磁気共鳴(NMR)、核四重極共鳴(NQR)の実験を紹介し、強磁性と超伝導がミクロに共存しどちらの現象もUの5f電子に起因すること[2]、また超伝導がUによる特異な強磁性ゆらぎによって引き起こされている可能性[3,4]を議論したい。
[1] S. S. Saxena et al. Nature (London) 406, 587 (2000).
[2] T. Ohta, et al. J. Phys. Soc. Jpn. 79, 023707 (2010).
[3] Y. Ihara, et al. Phys. Rev. Lett. 105, 206403 (2010).
[4] T. Hattori et al. Phys. Rev. Lett. 108, 066403 (2012).
世話人 井原 慶彦
(yihara@phys.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究院物理部門
「超伝導直流送配電の研究開発と北海道への導入可能性」に関する講演会
Oct 19, 2012
北大理学部物理部門主催 物理学会北海道支部講演会・第180回エンレイソウの会共催
講演題目: 強磁性超伝導体UCoGeのNMRによる研究
1.はじめに 15:00~15:10
北海道大学電子科学研究所 所長 三澤弘明
2.データセンター立地の魅力について 15:10~15:25
石狩市企画経済部企業誘致室 参事 富木浩司
3.超伝導直流送配電の研究開発と北海道への導入可能性 15:25~16:30
中部大学超伝導・持続可能エネルギー研究センター教授 山口作太郎
日 時 : 平成24年10月18日(木) 15:00-
場 所 : 理学研究院大講堂(理学部5号館5-2-03)
要 旨 :
中部大学では2005年から超伝導直流送電システムの研究開発を文部科学省の支援を得て開始した。理由は2つあり、一つは高温超伝導テープ線材が市販され、実機レベルの応用に使えるようになったと判断できたためである。もう一つは、高温超伝導送電システムは「交流」より「直流」が得意であるためである。つまり、超伝導を「直流」に応用すると、システムは安価で高性能になる。更に、安価で高性能な電力変換器が日本でハイブリッド車用に開発されたこともきっかけとなった。2006年10月に20mケーブル実験装置を完成し、実験を開始した。主な目的は低温系への熱侵入低減と電気系の試験である。また、ケーブル熱収縮についても基礎的な検討も行った。幸い、予定した実験結果を得ることができた。その後、ナノオプト・エナジー社の藤原洋氏の支援を受けて、200mケーブル実験装置を2010年3月に完成し、今まで実験を続けてきた。実験装置建設のための予算規模は約4億円であった。主な、研究項目は液体窒素の循環、超伝導ケーブルの熱収縮対策、ケーブルによる電力貯蔵などである。幸い、今までに5回の実験を行ったが、ほぼ順調に実験は進展し、次のステップを検討する段階に到達した。 昨年より次期装置の検討を続けているが、規模的には2kmほどを想定している。また、大学での研究段階から実際に産業で利用すると同時に大学が共同で研究・開発を行う体制が必要であると考えている。具体的な計画としては、北海道にあるデータセンター(iDC)に応用することを想定し、検討を行っている。理由は、iDCは北海道に設置すると節電が可能であり、今後石狩市などで大規模に展開される可能性があること、直流システムを利用することによって節電が可能であること、北海道(石狩市)でLNGプラントがもうじき稼動することなどが挙げられる。 本講演では、中部大学での研究開発と北海道への導入について現在の構想を話すと同時に、参加者のみなさんと将来構想についての議論を行うきっかけになることを願っている。
世話人 小田 研
(moda@sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究院物理部門
"Not-so-ordinary insights into ordinary UPt2Si2 - Surprises in high fields"
Prof. Dr. Stefan Suellow
Sep 10, 2012
物理学会北海道支部講演会・第176回エンレイソウの会共催
講演題目: Not-so-ordinary insights into ordinary UPt2Si2 - Surprises in high fields
講師: Prof. Dr. Stefan Suellow
Technical University of Braunschweig, Germany
日 時 : 平成24年9月10日(木) 16:00-17:00
場 所 : 北海道大学 理学部2号館211号室
要 旨 :
For years now, magnetism in uranium heavy fermion compounds was thought to be reasonably well understood. A case in point is UPt2Si2, a material which was even considered to be describable within a localized crystalline electric field picture. However, recent experiments indicate that this view is inappropriate. Here, I will review the results of new investigations on this material, with an emphasis on studies in high magnetic fields. These results will be discussed in context of new electronic structure calculations, this way illustrating how our understanding of magnetism in such correlated electron system has evolved in recent years, and point out open issues and implications.
世話人 網塚 浩
(amiami@phys.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究院物理部門
"Dissipative solitons with energy and matter flows: fundamental building blocks for the world of living organisms"
Prof. H. R. Brand
Sep 03, 2012
物理学会北海道支部講演会・第175回エンレイソウの会共催
講演題目: Dissipative solitons with energy and matter flows: fundamental building blocks for the world of living organisms
講師: Prof. H. R. Brand
Bayreuth University, Germany
日 時 : 平成24年9月3日(木) 13:00-14:00
場 所 : 北海道大学 理学部2号館211号室
要 旨 :
We consider a combined model of dissipative solitons that are generated due to the balance between gain and loss of energy as well as to the balance between input and output of matter. The system is governed by the generic complex Ginzburg-Landau equation, which is coupled to a common reaction-diffusion (RD) system. Such a composite dynamical system may describe nerve pulses with a significant part of electromagnetic energy involved or light controlled chemical reactions. We present examples of such composite dissipative solitons and analyze their internal balances between energy and matter generation and dissipation. Our model serves as the simplest example of the intricate transition from the inanimate world to the world of living organisms where the energy and matter supplies are readily available.
世話人 北 孝文
(kita@phys.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究院物理部門
「神の粒子、ヒッグスの発見」
波場直之
Jul 13, 2012
物理学会北海道支部講演会・第172回エンレイソウの会共催
講演題目: 「神の粒子、ヒッグスの発見」
講師: 波場 直之
北大理学研究院素粒子論研究室・教授
日 時 : 平成24年7月13日(金) 18:30-19:20
場 所 : 北海道大学理学部5号館大講堂(5号館2階03室)
要 旨 :
テレビや新聞でニュースになりましたが、7月4日、欧州合同 原子核研究所(CERN、スイス)は、世の中の最も基本的な粒子の 一つで、物に重さ(質量)を与える「神の粒子」とも呼ばれる「ヒッ グス粒子」とみられる新粒子の発見を発表しました。ヒッグス粒子は、 現代物理学を支える「標準理論」が予言しながら見つかっていない唯 一の粒子で、新粒子がヒッグス粒子と確認されれば、標準理論の完成 となります。物質の究極の姿と基本法則を探る素粒子物理学は、アイ ンシュタインの相対性理論とハイゼンベルクらの量子力学を土台に発 展して、日本も湯川秀樹、朝永振一郎、南部陽一郎、小林誠、益川敏 英の各氏らが大きく貢献してきました。この講演では、「標準理論」や 「ヒッグス粒子」の本質を分かりやすく解説いたします。
世話人 羽部 朝男
(habe@astro1.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究院物理部門