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組織
支部講演会
支部会報告

「流体ブラックホールをもちいたブラックホール物理の検証」
阪上 雅昭 氏

Dec 05, 2011


物理学会北海道支部講演会
講演題目: 「流体ブラックホールをもちいたブラックホール物理の検証」
講師: 阪上 雅昭 氏

  京都大学大学院 人間・環境学研究科

日 時 : 平成23年12月05日(月) 16:30-17:30
場 所 : 北海道大学理学部2号館2階 2-211

要 旨 :
ブラックホールは一般相対性理論において最も興味深い対象である.ブラック ホールにおいてはそこから脱出できるかどうかの境界であるhorizonが重要な役 割をはたす.ここで,時空を流体そして光を音波に置きかえ,さらに,流速が亜 音速から超音速に空間的に変化する1次元の遷音速流を考えよう.すると亜音速 領域にいる観測者からは超音速領域は音波に対するブラックホール内部そして音 速点はhorizonと見なすことができる.これが流体ブラックホールである.  本講演ではホーキング輻射と準正規振動を取り上げ,これらの興味ある現象が 流体ブラックホールでも存在することを示す.さらに空気流やボーズ・アイン シュタイン凝縮を利用して流体ブラックホールを実験室で造り,ホーキング輻射 と準正規振動を実験的に検証する可能性について議論する.

世話人  北 孝文
(kita@phys.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究院物理学部門

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「消える『双子のパラドクス』」
原田 稔 氏

Sep 28, 2011


物理学会北海道支部講演会
講演題目: 「消える『双子のパラドクス』」
講師: 原田 稔 氏

  小樽商科大学名誉教授

日 時 : 平成23年9月28日(水) 16:00-17:00
場 所 : 北海道大学理学部2号館2階 2-211

要 旨 :
 「双子のパラドクス」は相対論のパラドクスの中で最もポピュラーなものであ るが、本質的には相対論的時間の解釈に関係した問題である。  相対論では基準系によって時間が異なるとされているが、この“異なる”とい うことの物理的意味に関しては、必ずしも明快な説明が与えられているわけでは な い。物理の場合、時間は自然現象との関連で定められるので、“時間が異な る”ということが自然現象のリズムの変化と受け止められていると言っても過言 ではない。その典型例が、動く基準系と静止基準系とでは歳の取り方が違うと いうもので、「双子のパラドクス」の原点をなしている。  しかし、相対論で登場する時間は、自然現象と1対1の対応関係をもつものでは ないのである。相対論での時間や空間は、物理法則を表現する便宜のために考案 された一種の言語であって、基準系が異なれば時間・空間座標も変わるが、その 影響は法則の表現形式には及ばないのである。したがって、歳を取るという物理 現象は時間座標の変更の影響は受けないということになる。これは、メンデル・ サックスがかねてより主張しているところであるが、自然法則の普遍性を考えれ ば至極当然なことと言えよう。  しかしながら、従来の「双子のパラドクス」に関する議論では、基準系の変更 によって歳の取り方が変わるとされているのである。サックスは上述のような観 点から、双子の相対運動によって年齢差が発生するはずはないと警鐘を鳴らして いるが、この主張を、オーソドックスな相対論の議論に基づいて完全に正当化し ているのが、小生の論文[Physics Essays 24,454(2011)]である。  尚、この問題に対して、従来から関連性が指摘されている加速度の取り扱いに ついては完全に正当化し得るものではないことに注意を喚起しておきたい。

世話人  北 孝文
(kita@phys.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究院物理学部門

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"Sr2RuO4の異方的超伝導に関する磁化・熱磁気量効果測定による研究"
天谷 健一 氏

Sep 28, 2011


物理学会北海道支部講演会・第148回エンレイソウの会共催
講演題目: Sr2RuO4の異方的超伝導に関する磁化・熱磁気量効果測定による研究
講師: 天谷 健一 氏

  信州大学教育学部

日 時 : 平成23年1月12日(水) 16:30-18:00
場 所 : 北海道大学理学部2号館2階 2-211

要 旨 :
 Sr2RuO4は,NMRナイトシフトが超伝導状態においても不変であること μSR測定などから自発磁化が観測されていること,などから,2次元スピン三重 項超伝導体と考えられている.しかし,磁場をc軸に垂直に印加した場合,上部 臨界磁場が低温で抑制されることや低温高磁場で新たな超伝導相に相転移するな ど,スピン三重項超伝導では簡単に説明できない現象も観測されている.また, 理論面でもスピン三重項超伝導を特徴付けるdベクトルの向きが確定されていな い.
本講演では,超伝導状態における精密磁化測定および熱磁気量効果測定によって 得られた結果から,低温高磁場相における磁化の振舞いや中間磁場での磁化の異 常についてまとめるとともに,下部臨界磁場直上でのヒステリシス磁化異常やそ れにともなう熱磁気量効果の異常について報告する.

世話人  網塚 浩
(amiami@phys.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究院物理学部門

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"MACROSCOPIC BEHAVIOR OF ACTIVE SYSTEMS WITH A DYNAMIC PREFERRED DIRECTION"
Prof. Dr. Helmut R. Brand

Sep 16, 2011


物理学会北海道支部講演会
講演題目: MACROSCOPIC BEHAVIOR OF ACTIVE SYSTEMS WITH A DYNAMIC PREFERRED DIRECTION
講師: Prof. Dr. Helmut R. Brand

  Theoretical Physics III, University(Bayreuth, 95440 Bayreuth, Germany)

日 時 : 平成23年9月16日(金) 13:00-14:00
場 所 : 北海道大学理学部2号館2階 2-211

要 旨 :
We present the derivation of macroscopic equations for active systems with a dynamic preferred direction, which can be either axial or polar. Such an approach is expected to be applicable and important for biological systems, which have preferred directions only dynamically, but not permanently or in a static configuration. For an axial preferred direction we introduce the time derivative of the local preferred direction as a new variable and discuss its macroscopic consequences including new cross-coupling terms. We investigate the coupling to a gel for which one has the strain tensor and relative rotations between the new variable and the network as additional macroscopic variables. For the case of a dynamic polar preferred direction the additional macroscopic variables transforms like a velocity under parity and time reversal. This approach is expected to be useful for a number of biological systems including, for example, the formation of dynamic macroscopic patterns shown by certain bacteria such as Proteus mirabilis.

世話人  北 孝文
(kita@phys.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究院物理学部門

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「固体中の電子に働く多体相互作用の定量評価」
島田賢也氏

Dec 15, 2010


物理学会北海道支部講演会
講演題目: 固体中の電子に働く多体相互作用の定量評価
講師: 島田賢也氏

  信州大学教育学部

日 時 : 平成22年12月15日(水) 16:00-17:30
場 所 : 北海道大学理学部2号館2階 2-211

要 旨 :
 最近、真空紫外線・軟X線領域の放射光を利用した角度分解光電子分光実験(ARPES)のエネルギー・運動量分解能が向上したことにより、ARPESスペクトルを一粒子スペクトル関数とみなして定量的に解析することが可能になった。原理的にはフェル面上の点を指定し、実験的に自己エネルギーの実部と虚部を導出し、準粒子に働く多体相互作用(電子ー格子相互作用、電子ー電子相互作用)の結合定数を評価できる[1]。私たちは、多体相互作用に由来する自己エネルギーや結合定数を実験的に評価することにより、超伝導や遍歴磁性などの固体物性の基礎的理解を目指している。
 これまでに金属の表面準位、バルク準位について多体相互作用の結合定数を評価してきた[2-7]。例えば、アルミニウムの表面準位では、電子ー格子相互作用の結合定数は~0.5、電子ー電子相互作用の結合定数は<0.1であり、電子ー格子相互作用の方が強い[3]。一方、鉄において多数スピンのバルク準位を調べたところ、電子ー格子相互作用の結合定数は~0.2に対して、電子ー電子相互作用の結合定数は~2であり、電子相関がかなり強いことが分かった[4]。ニッケルの結果からは、スピンの向きや波動関数の対称性によって結合定数が異なることが明らかとなった[5]。
 ごく一般的に複数のバンドがフェルミ準位を横切る物質(多バンド系)においてはフェルミ面やバンド分散が重なり合うため、精密解析を行うことは必ずしも容易ではない。そこで私たちは放射光の直線偏光特性を活用することに着目した。光学選択則をうまく利用すると入射光の直線偏光面と単結晶試料の鏡映面(=検出面)の幾何学的配置により、観測可能な始状態のブロッホ軌道の対称性を決めることができる。すなわち波動関数の対称性を指定してフェルミ面やバンド分散を分離観測することが可能となる。私たちは、新しい直線偏光依存高分解能ARPES装置を開発し、ルテニウム酸化物超伝導体Sr2RuO4の電子状態の精密解析を行った。その結果、波動関数の次元性に対応して、電子ー電子相互作用に由来す るくりこみ効果が異なること、電子ー格子相互作用の結合定数がフェルミ面に依存して異なること、スピンー軌道相互作用が重要であることを明らかにした[6]。
謝辞:本研究は広大放射光セの岩澤英明、生天目博文、谷口雅樹、広大院理の林 博和、姜健、産総研の相浦義弘、吉田良行、長谷泉の各氏との共同研究です。
[1] Ed. S. Hufner, Very High Resolution Photoelectron Spectroscopy (Springer-Verlag, Heidelberg, 2007).
[2] J. Jiang et al. e-J. Surf. Sci. Nanotech. 7 (2009) 57.
[3] X.Y. Cui, K. Shimada et al., Phys. Rev. B 82 (2010) 195132.
[4] M. Higashiguchi et al. Phys. Rev. B 72 (2005) 214438.
[5] M. Higashiguchi et al. Surf. Sci. 601 (2007) 4005.
[6] H. Iwasawa, Y. Aiura et al., Phys. Rev. Lett. 105 (2010) 226406.

世話人  小田 研
(moda@sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究院物理学部門

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