「超伝導直流送配電の研究開発と北海道への導入可能性」に関する講演会

Oct 19, 2012


北大理学部物理部門主催 物理学会北海道支部講演会・第180回エンレイソウの会共催
講演題目: 強磁性超伝導体UCoGeのNMRによる研究
1.はじめに 15:00~15:10
  北海道大学電子科学研究所 所長 三澤弘明
2.データセンター立地の魅力について 15:10~15:25
  石狩市企画経済部企業誘致室 参事 富木浩司
3.超伝導直流送配電の研究開発と北海道への導入可能性 15:25~16:30
  中部大学超伝導・持続可能エネルギー研究センター教授 山口作太郎

日 時 : 平成24年10月18日(木) 15:00-
場 所 : 理学研究院大講堂(理学部5号館5-2-03)

要 旨 :
中部大学では2005年から超伝導直流送電システムの研究開発を文部科学省の支援を得て開始した。理由は2つあり、一つは高温超伝導テープ線材が市販され、実機レベルの応用に使えるようになったと判断できたためである。もう一つは、高温超伝導送電システムは「交流」より「直流」が得意であるためである。つまり、超伝導を「直流」に応用すると、システムは安価で高性能になる。更に、安価で高性能な電力変換器が日本でハイブリッド車用に開発されたこともきっかけとなった。2006年10月に20mケーブル実験装置を完成し、実験を開始した。主な目的は低温系への熱侵入低減と電気系の試験である。また、ケーブル熱収縮についても基礎的な検討も行った。幸い、予定した実験結果を得ることができた。その後、ナノオプト・エナジー社の藤原洋氏の支援を受けて、200mケーブル実験装置を2010年3月に完成し、今まで実験を続けてきた。実験装置建設のための予算規模は約4億円であった。主な、研究項目は液体窒素の循環、超伝導ケーブルの熱収縮対策、ケーブルによる電力貯蔵などである。幸い、今までに5回の実験を行ったが、ほぼ順調に実験は進展し、次のステップを検討する段階に到達した。 昨年より次期装置の検討を続けているが、規模的には2kmほどを想定している。また、大学での研究段階から実際に産業で利用すると同時に大学が共同で研究・開発を行う体制が必要であると考えている。具体的な計画としては、北海道にあるデータセンター(iDC)に応用することを想定し、検討を行っている。理由は、iDCは北海道に設置すると節電が可能であり、今後石狩市などで大規模に展開される可能性があること、直流システムを利用することによって節電が可能であること、北海道(石狩市)でLNGプラントがもうじき稼動することなどが挙げられる。 本講演では、中部大学での研究開発と北海道への導入について現在の構想を話すと同時に、参加者のみなさんと将来構想についての議論を行うきっかけになることを願っている。

世話人  小田 研
(moda@sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究院物理部門

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