「TaSe_2における電荷密度波の光誘起ダイナミクス」
池田 達彦 氏

Apr 24, 2018


日本物理学会北海道支部講演会

講演題目: TaSe_2における電荷密度波の光誘起ダイナミクス
講 師 : 池田 達彦 博士
     東京大学物性研究所
日 時 : 平成30年4月24日 (火) 10:00-11:30
場 所 : 北海道大学工学部A棟A1-70室(物理工学系会議室)

要 旨 :
遷移金属ダイカルコゲナイドは、多彩な電荷密度波(CDW)とそれに伴う格子変形を示す層状の物質群として興味を持たれ、1970年代以降調べられて来た [1]。 近年は時間分解測定技術が発展し、非平衡ダイナミクスの格好の舞台として精力的に研究され、電子と格子の協力現象や異なるCDW間の構造相転移が実験的に明らかにされてきている。1T-TaSe_2は遷移金属ダイカルコゲナイドの中で比較的単純な相図を持ち、約470Kより高温では incommensurate なそれより低温では commensurate なCDWを示すことが知られている。また、commensurate相からincommensurate相への光誘起相転移も観測されている [2]。 本セミナーでは、1T-TaSe_2のCDW相を再現する経験的強束縛模型を構築し、これを用いた光誘起ダイナミクスの理論的研究について発表する。この模型は三角格子上の三軌道模型であり、移動積分の値は我々が行った第一原理計算の結果をフィッティングし決定されている。CDWの理論的取り扱いは大きな単位胞を必要とするため、第一原理計算と強束縛模型を併用する手法が有効である。この模型に格子変形自由度を古典的に導入することで、温度相図を再現し、光誘起ダイナミクスの議論を行う。 参考文献 [1] J. A. Wilson et al., Adv. Phys. 24, 117-201 (1974). [2] S. Sun et al., Phys. Rev. B 92, 224303 (2015). 

世話人  丹田 聡
(tanda@eng.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院工学研究院応用物理学部門


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