May 08, 2024

「CeCoSiの強磁場物性とその隠れた秩序相に関する研究」
神田 朋希 氏


日本物理学会北海道支部講演会

講演題目: CeCoSiの強磁場物性とその隠れた秩序相に関する研究
講 師 : 神田 朋希 氏
      北大理
日 時 : 2024年5月8日(水) 16:30-
場 所 : 北海道大学理学部2号館 2-211
要 旨 :
本講演で取り上げるCeCoSiでは、2019年に常磁性相(I相)と反強磁性相(III 相)の間に、秩序変数が自明ではない「隠れた秩序相」(II相)が確認された[1]。 最新のNMR実験から、II相はQzx + Qyz型の強電気四極子秩序とされている[2]。 しかし正方晶であるCeCoSiの結晶場基底状態には電気四極子自由度は存在しない ため、電気四極子秩序は本来起こりえない。そのためCeCoSiにおける電気四極子 自由度の起源が活発に議論されている。またCeCoSiでは結晶場状態に関してもコ ンセンサスが得られておらず、強磁場磁化過程により結晶場状態を決定する必要 があった。 本研究ではパルス強磁場を用いた60 Tまでの磁化、磁気トルク、非接触電気抵 抗、磁気熱量効果、比熱の各測定を行った[3]。得られた磁化過程に対して、磁 化の計算値をフィッティングすることで結晶場状態を決定した。また磁気トルク 測定では20 T以上の強磁場領域において、結晶の対称性からは非自明な4倍周期 の磁気異方性を観測した。本研究では磁気異方性の計算から、結晶場基底状態と 第一励起状態との混成により4倍周期の磁気異方性が生じることを示した。さら に磁場による結晶場状態の混成によってQzx, Qyzの電気四極子自由度が活性にな ることを示した。 本講演ではCeCoSiに対して行われてきた研究をレビューするとともに、パルス 強磁場実験によって明らかとなったCeCoSiの強磁場物性と隠れた秩序相との関係 について詳しく議論する。

[1] H. Tanida et al., J. Phys. Soc. Jpn. 88, 054716 (2019).
[2] M. Manago et al., Phys. Rev. B 108, 085118 (2023).
[3] T. Kanda et al., Accepted in Phys. Rev. B


世話人: 井原 慶彦
(yihara@phys.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究院物理学部門
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